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 TOPWEBマガジン『KZ-plus』 > インタビュー「失敗プレゼンの原因は○○○○語(2)」







▼高津和彦インタビュー

失敗プレゼンの原因2

取材・構成/今城裕実
撮影/北尾浩幸


高津: さっき、日本人は言葉が長い方が丁寧だと感じる、という話をしましたよね?
そして、「フォーマル、つまり普通ではない」ということと「難しい・長い」も、感覚として結びついている。
丁寧に、失礼のないように、と心がければ心がけるほど、わかりやすい普段の話し方からは遠ざかっていくんです。
今城: でも、聞き手に対してのマナーというか、尊重する気持ちは伝わるのではないですか?
高津: さて、そこです。 日本人に染みついている習性で、感情をあらわにすることは「失礼」と感じるんです。
つまり、相手に対して丁寧に接しようとすればするほど、尊敬以外の自分の感情は消してしまうことになる。
プレゼンで大切なのは、聞き手への敬意を伝えることじゃないでしょう?
今城: 要するに、丁寧にしようと思えば思うほど、肝心なことが伝わらなくなるということですか?
高津: 例を挙げてみましょう。 言葉が長いと丁寧に感じるということは、反対に短いと雑にぞんざいに感じるということです。
あなたが、店で気に入った靴を見つけたとしましょう。でも、他の色も見てみたい。
そこで店員に「これの色違いはありますか?」と訊ねる。 最も短い答えは…黙って商品を差し出す(笑)
今城: うわー、バカにされた気がします!(笑)
高津: まあそれは冗談として、「白、黒」と単語で答えるのが最も短い返事ですね。
今城: 怒ってるか、機嫌が悪いかと思いますね。
高津: でも、白と黒があるんだなってことは、ハッキリしています。
ほんの少し付け加えて「白と黒があります。」 これはどうですか。
今城: ちゃんとわかるし、言い方がきつくなければ十分だと思います。
高津: ところがどっこい。今の日本で、こんな短い答えが返ってくる店は少数派かもしれませんよ。
格調高い店であればあるほどね。
「こちらの商品ですと、お色違いの方は白黒と2色の品揃えがございます〜」  このぐらいの長い返事、よく聞きませんか?
今城: 言われます! 「白、黒」からずいぶん長くなるもんですね(笑)
高津: でも、みんな「これぞ丁寧」と思ってやっている。
それに、商品を見せずに耳で聞いただけだと、白と黒、白黒2色コンビ、の色違いがあると勘違いする人もいるかもしれません。
これは簡単な例だから、そんな聞き間違いをする人は少ないでしょうが、もっと複雑なサービスや詳しい商品説明をする時に、装飾過多な言葉を使うとどんどん伝わりにくくなってくる。
本当に伝えたいことが「薄まって」しまうんですよ。
今城: なるほど。
「薄まる」というのは、さっきの「白、黒」の例でよくわかりました。
肝心な言葉に対して、それ以外の言葉の分量が多くなりすぎる、ということですね?
高津: そうなんです。
長文=難しい=賢い、パーツが多い=丁寧、音節が多く長い=重々しい、熟語=フォーマル、こんなイメージを無意識にプレゼンに反映させてしまう人が、たくさんいます。
例えば、「〜が」「〜に」と言うべきところを「〜の方におきましては」「〜というような形で」というふうに、無駄にかさ増しした言葉を知らないうちに使っている人、多いですよ。
今城: 確かに、よく聞くフレーズですね。いつの間にか、人前で話す時の定型句のような気がしていました。
高津: 本来は必要ない言葉なのに、直接表現で言わないことがクセになっているんです。 僕のところに来る受講生の人でも、そうした「丁寧」と思っている装飾を外すように指導すると「失礼になるんじゃないか」「上司に怒られる」と言って怖がる人がとても多い。
でも、例えば「わたくしどもの方におきまして、させていただくという方向でご理解いただければと思います」と言うのを「弊社がいたします」と言ったら、失礼になりますか?ならないでしょ?
この例は、決して大げさじゃないですよ。本当に、こんな言い方をしている人が山ほどいるんです。
今城: そうですね、「させていただく」は、私の周りでも多用している人が多いです。
言われるまで、ほとんど意識していませんでしたけど…
高津: こうした不要なかさ増しで薄めた表現を、僕は「ぼやかし言葉」と呼んでいます。
「〜させていただく」「〜の方」「〜の形」は代表的なフレーズですが、他にも「並びに」や「及び」で文をつないで長くする人もいる。 この文をつないで長くするパターンには、「〜です」と終わるところを「〜でして」「〜ですが」に置き換えるというのもあります。
時には、「えー、私の名前は高津和彦と申しまして、職業はスピーチトレーナーをしているわけですが、この仕事はどんなものかということなんですけれども、内容はといいますといわゆる話し方を教えるというものでして…」と自己紹介が全て1文になっている人もいますよ(笑)
今城: いますいます、1文につなげて話す人(笑)
高津: 短い文は「ぶっきらぼう・失礼」という意識が働いているから、とにかく言葉を多く長くすると、何となく安心するんでしょうね。
本来、言葉で何かを伝えようとする時、最も重要なのは主語と述語です。
「ぼやかし言葉」を使うと、その主語と述語がどんどん不明瞭になっていく。ちゃんと伝わらない。
相手にはっきり伝わらないことの方が、本当はずっと失礼だと僕は思いますよ。
今城: 言われてみると、私も反省させられました。 丁寧に話しているつもりでしたが、大事なところをぼかすのは、かえって失礼ですね。
高津: 過ぎたるはなお及ばざるがごとし、と言いますからね。

>> 失敗プレゼンの原因は○○○○語(3) へ続く



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